青春の小箱におさまりきらない

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リューン~風の魔法と滅びの剣~[3/10昼]

たった1回、されど1回。観てきたもの、そのとき感じたことを忘れたくないから綴っておこうと思う。

他担が、1回観た感想だということをわかった上で、読む人は読んでほしい。

 

1回観たら、2回観たくなる舞台だった。でも1回でも良い意味で満足できて想像できない展開もあって、わくわくした舞台だった。

なんせ自分がその舞台を生で観た感覚を大事にしたいからこの日までネタバレも極力見てこなかったし、人の感想を取り入れなくてそれも聞いてこなかった。

…から、この感覚が合ってるのかわからない。

 

 

★リューン・フロー(藤原丈一郎

私はフローのことが理解できない。そして怖い。

彼はいわゆる漫画や小説の主人公の「良い奴」部分を担っていて、でも受け手(ここで言えば観客)へ向けられた共感部分がない。普通(と言ってしまっていいのかわかんないけど)、主人公ってその人の良い部分と悪い部分両方が描かれる。人間って良いところだけでできていないから。後で話すけどダイはやっぱり復讐心があったり強くなりたいという野望があったり、醜いとされるような感情を持ち得ている。そしてその醜い感情、主人公の駄目な部分に人は共感する。そういう設定が大抵盛り込まれている。でもフローは一切それがない。だから人間離れしていて怖い。自分の身を投げうってまで守りたいものがある…みたいな設定の主人公は他にもいるのかもしれないけど、それまでの葛藤とか覚悟とかあるはずなんだけどフローにはそれがないように感じた。フローの覚悟は自分がダイを救うことにしかなくて。そのためになら自分の身体を犠牲にする。それも復讐相手から剣を譲ってもらうために試し斬りされるという形で。

Twitterでまた楽終わってなかったから明確には触れなかったけど私が昨日言っていた「大事なものが欠落している」というのはこのこと。実際ダナトリア様を前にしても極端な怒りも悲しみも表現されていなくて。もちろんダイが行動に出てしまったからそれを止めなきゃって気持ちがあったのもあるとはいえ、自分もそういう風になってもおかしくないはずなのになって。だからこのとき、あ、これフロー怖いやつだぁ…って思った。

ダナトリア様のセリフで「一番恐ろしいのはお前のようなやつだと思った。どんなに頭を使っても予測できない。一番恐ろしいのは蜂は自分の行動を理解していない蜂だ。」みたいなのがあって。なんせ1回しか観ていないからニュアンスでしか覚えていないのだけれど本当にそうだなって思ってて。ダイを救うために犠牲を払うことに何も感じていなくて、本当はそれは異常であるはずなのにそれに気付けていない。

フローvsダイのシーンでは結局フローは自分の剣を地面に置いてしまう。ダイの剣を目の前にして身を挺して救おうとする。結局ダイスがかばったことで刺されずにすんだけど、あの時ダイが止まれる確証はなくて、つまりフローはダイを(自分の一部だけではなく命を犠牲にしてでも)救うために過酷な旅をしてきたことになる。それだけフローにとってはダイは大きな存在だ、って話でもあるんだけど、フローにとって暗くて悲しくて辛い過去は全部ダイが生きていることで昇華させていたのかな?できればダイと生きることで昇華させてほしいなって思っちゃったよね、あまりにも自分を大切にできていないから。フローにも大切な人がいるように、フローを大切に思ってくれている人がいる。そのことにこれからの未来で気付いていってほしいなと思った。

あとこれは物語と繋がっていないかもしれないけど、丈くんのフローはどこかいつも寂しさが付きまとっているというか。瞬間もあるけどその滲みが濃いか濃くないかが秒ごとに違うというか。それが好きだと思ったんだけど、これはもしかしたら丈くん自身に私が見ているものかもしれない…(笑)

 

 

★リューン・ダイ(大橋和也)

先に言うけどフローに比べて短いよ、ごめんね。あまりにもフローに言いたいことが多すぎて…(笑)

ダイは本当に人間らしい。理性と感情のバランスが素晴らしいし、憎んで憎んでたまらなかった相手が目の前にいて、感情が理性を上回る。なのにその剣は止まらなくて、殺したくないのに身体が言うことを効かなくて剣の奴隷に落ちる。その悲痛に歪む顔も、そんな自分を消滅させることもできない辛さ。孤独。

ダイは本当に普通の子だった。過去持ちってこと以外に、気持ちが動く理由も正当で、だから急にそんな運命を背負わされたら普通は壊れてもおかしくない。ただすごいなって思ってのは泣いて投げやりにならなかったこと。自分の中にいる何かと闘おうとしたこと。それは本当にすごいなって思った。陳腐な言葉しか出てこないけど。

ダイが滅びの剣から解放された後、次の道へ進めてよかったと思う。あそこで堕ちなかったのは助けに来てくれたフローがいたから、そしてそのフローを殺さずにすんだのもあるのかな。フローやエルカが帰ってくる場所を守ってくれているから、そこに戻ってきて、3人で笑えたらいいな、と思う。

 

 

★リューン、「声を聞く者、旅芸人。」

友達にネタバレって言われたから幕間にパンフレットをやっと開いて読んでいたら目に飛び込んできた「リューン」の意味。狼の遠吠えにも似た名前、遠吠えは悲しさや寂しさから仲間を呼ぶ声、でも声を出せるのは耳を持つ仲間がいると信じるから。

リューンの名前を持つフローとダイ。フローの耳にはダイの悲痛の叫びが聞こえていて、ダイは自分の中のそれと闘いながらフローに助けを求めていたんだろうなって。あの日、約束したから。フローは途中で右耳を失ってしまうけど、左耳があったから最後までダイの声を聞くことができた。身体の一部を失うこと自体非常に残酷なんだけど、両耳じゃなくてよかったって思ったんだよね私。

 

 

とりあえず今日中に書き留めておきたいと思っていたから殴り書き。あまり推敲もしてないし、なんせ基本誰とも感想語り合ってもないから本当に解釈違いかもしれないんだけど、私の感覚を残しておきたいので今日はこのへんで。追記したくなったらまた追記することにします。

『リューン~風の魔法と滅びの剣~』、大千穐楽おめでとうございました!